・東京地判平成11年2月19日判タ1004号246頁  「スイングジャーナル青春録」事件。  被告が「スイングジャーナル青春録・大阪編」と題する書籍を執筆し、被告会社から出 版したことに対して、原告(スイングジャーナル社)が、不正競争防止法2条1項2号に 基づいて提起した請求が棄却された。  判決は、「本件題号が、本件書籍を表示し、他の商品と区別するために付されているこ と、すなわち被告の商品表示に当たることは明らかである」とした。  しかし、他方で、「自己の商品表示中に、他人の商品等表示が含まれていたとしても、 その表示の態様からみて、専ら、商品の内容・特徴等を叙述、表現するために用いられた にすぎない場合には、同法同号所定の他人の商品等表示を使用したものと評価することは できない。特に、当該商品が書籍であるような場合は、世上、書籍の内容等を窺わせる題 号を選択した結果、題号の中に他人の商品等表示を含むことは、しばしばあり得るが、そ のような場合に、直ちに、他人の商品等表示を使用したものとすべきではなく、右の観点 から判断するのが相当である」としたうえで、本件において、被告が、本件書籍の表紙部 分等に「スイングジャーナル青春録・大阪編」と標記したことは、本件題号が他の商品と 区別するために付されていること、すなわち、被告の商品表示にあたるものの、本件書籍 の内容、帯紙の体裁等からすると、本件題号は本件書類の内容特徴を的確に表現するため に選択されたものということができるのであって、題号の選択について通常と異なる不自 然な印象を与える点はないなどとして、「本件書籍の表紙部分等に『スイングジャーナル 青春録・大阪編』と表示した被告らの行為は、不正競争防止法2条1項2号所定の他人の 商品等表示と同一若しくは類似のものを使用した行為に該当するものとはいえない」と判 示した。