・東京地判平成11年3月29日判決速報289号8720  出版契約解釈事件。  原告(株式会社宝島社)は、本件各出版契約において原告に設定された著作権法上の出 版権は単行本か文庫本かという版型の違いによって分割され得ない性質のものであるから、 本件各出版契約において原告に認められた出版権も単行本のみならず、文庫本にもおよぶ 旨主張する。しかしながら、出版権設定契約の中で、当事者間の合意によって、出版社の 権利の範囲を制限し文庫版にはおよばないものと定めれば、右合意には契約当事者を拘束 する債権的な効力が生じ、出版者は著作権者との関係で、当該著作物の文庫版を出版でき ないことになるところ、本件各出版契約書に定められた条項を検討すると、本件出版契約 の18条により、本著作物の外国語版および文庫版の「第一優先権」が原告にある旨規定 されていることから、その前提として、原告に認められる権利が文庫版にはおよばないと 解するのが合理的であると判示した。その結果、原告の損害賠償請求を棄却した。