・東京地判平成11年7月23日  「THE sak」事件。  原告(ザサックインターナショナルリミテッド)は、英国領バージンアイランドにおい て設立された、かばん類の製造販売を目的とする会社である。被告エスエーシーは、服飾 品の販売等を目的とする株式会社であり、被告サックは、かばん類等の販売を目的とする 株式会社である。被告エスエーシーは、本件商標権を有する。  原告は、日本国外において、原告標章「THE sak」の付されたかばん類を製造し、 訴外会社を通じて右かばん類を日本国内において販売してきた。  被告エスエーシーは、原告標章は本件商標に類似するから、原告標章が付されたかばん 類の販売は本件商標権を侵害すると主張しており、訴外会社に対し、本件商標権に基づき、 右かばん類の販売等の差止めを求める仮処分命令の申立てを行っている。  被告サックは、原告の製造したかばん類を取り扱っている株式会社横浜そごう等に対し、 原告標章が付されたかばん類の販売は被告エスエーシーが有する本件商標権を侵害するも のであるとして、その販売停止を申し入れた。  本件は、原告が、原告標章(一)から(十一)が付されたかばん類の販売は本件商標権 を侵害しないと主張して、本件商標権を有する被告エスエーシーに対しては差止請求権の 不存在確認を求め、被告サックに対しては、不正競争防止法2条1項11号、3条に基づ き原告の販売取引先に対する告知・流布行為の差止めを求めた事案である。  判決は、原告標章(一)から(九)までは被告標章に類似するが、原告標章(十)およ び(十一)に限っては類似しないとして、後者の限りにおいて原告の請求を認容して、被 告エスエーシーに対しては差止請求権の不存在確認を認め、被告サックに対しては、おな じ限度において、原告が行う原告標章(十)および(十一)の付されたかばん類の販売行 為が被告の商標権を侵害する行為である旨を原告の右かばん類の販売取引先に告知または 流布してはならない旨判示した。