・東京地判平成11年8月31日  放熱器実用新案事件。  本件は、原告(日本ブロアー株式会社)が、被告(山洋電気株式会社)に対し、被告に よる放熱器(CPUクーラー)の製造販売行為が、原告が有していた実用新案権の侵害に 該当すると主張して、損害賠償(実施料相当額および遅延損害金)を求めた事案である。  判決は、実用新案権の侵害を認めて、実施料率3%に基づいて、相当実施料相当額とし て5172万2550円の損害賠償を認容した。 ◆損害額  「(二) 右に認定した事実に、右一3ないし8において被告製品の構成やその効果につ き判示したところを総合すると、被告製品は、ファン20のブレード20Dの下部をフィ ン18に入り込むようにしたこと、フィン18をくさび形にしたり角度を付けて配列した りすることなどによって、機械的強度及び放熱効果の向上並びに小型化を一段と進め、こ れにより販売量が増加したということができるとしても、基本的には、ファンとフィンの 取り付けられた吸熱板とを組み合わせ、放射方向の空気流れ通路を形成した本件考案と技 術思想を共通にするものであるから、原告が本件考案の実施に対して被告から受けるべき 相当な実施料は、被告製品の販売金額の三パーセントと認めるのが相当である。  3 したがって、原告は被告に対し、実用新案権侵害による損害賠償として、実用新案 法29条3項に基づき、右1の販売金額に右2の割合を乗じた五一七二万二五五〇円を請 求できるものと認められるから、原告の請求は、右金額及びこれに対する不法行為の後で ある平成八年三月五日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年五分の割合 による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。