・大阪地判平成11年9月9日判決速報295号9094、コピライト464号34頁  ジャズレコード事件:第一審。  原告(フレッシュサウンドレコードことジョルヂプジョル)は、スペインのレコード会 社であるフレッシュ・サウンド・レコード(以下「フレッシュ・サウンド社」という。) の経営者であり、原告(スーパー・ストップ株式会社)は、レコードの輸入および輸出販 売を目的とする会社である。  被告(ヴィーナスレコード株式会社)は、レコード原盤の企画、製作、および販売等を 目的とする会社であり、被告(株式会社徳間ジャパンコミュニケーションズ)は、音楽録 音物等の企画、製作、販売、および輸出入等を目的とする会社である。  本件各レコードに録音されている音源は、もともと、米国においてジャズを専門に扱う エベレスト・レコード・グループ(以下「エベレスト社」という。)が1954年から1 960年にかけて、いずれも米国ニューヨーク州で固定したものであり、同社は、右音源 に基づいてレコードを製作し、独自に作成した図柄のジャケットを付して製造、販売して いた(エベレスト盤)。  スペインに在住する原告ジョルヂプジョルが経営するフレッシュ・サウンド社は、本件 第一レコードに原告第一図柄を、本件第二レコードに原告第二図柄を、本件第三レコード に原告第三図柄を、本件第四レコードに原告第四図柄をジャケットとして付して製造、販 売している。原告各図柄とエベレスト盤に使用されていたジャケットを比較すると、原告 第一、第三および第四図柄はほぼ同一であり、原告第二図柄については、題名を含め、全 く異なるものである。なお、本件第二レコードは、エベレスト盤とは曲名、曲順の一部も 異なっている。  被告ヴィーナスレコードは、少なくとも平成八年末まで、本件第一レコードに被告第一 図柄を、本件第二レコードに被告第二図柄を、本件第三レコードに被告第三図柄を、本件 第四レコードに被告第四図柄をそれぞれジャケットとして付して製造して、平成九年二月 一三日ころまでこれらを販売し、被告徳間は、少なくとも平成九年二月一三日まで、被告 ヴィーナスから委託を受けてこれらを販売していた。  本件は、本件レコード(1から4)に原告図柄(1から4)のジャケットを付したもの を、フレッシュ・サウンド・レーベルとして製造販売しているとして、原告らが被告らに 対し、本件各レコードの著作隣接権、原告図柄の著作権、および不正競争防止法2条2項 2号に基づいて、被告商品の製造、販売の差止、損害賠償等を請求した事案。  判決は、「原告ジョルヂプジョルが被告らに対し、被告第二図柄を付した本件第二レコ ードの販売を差し止める必要性は認められる」として、原告第二図柄に関する著作権の侵 害を認めて、原告による差止請求を認容した。 (控訴審:大阪高判平成12年7月28日) ◆判決文 第五 当裁判所の判断  一 争点一(本件各レコードの著作隣接権)について  1 争点一1(著作隣接権の保護範囲)について  (一)著作権法改正の経緯  (1)平成六年法律第一一二号「著作権法及び万国著作権条約の実施に伴う著作権法の 特例に関する法律の一部を改正する法律」(以下「平成六年改正法」という。)により、 著作権法八条四号が改正され、レコードでこれに固定されている音が最初に世界貿易機関 の加盟国において固定されたものについて、現行著作権法の施行時、すなわち昭和四六年 一月一日以降に録音固定されたものに限って、新たに著作隣接権による保護が与えられる こととなり(右保護対象の限定は、平成八年法律第一一七号による改正前の著作権法原始 附則2条3項2号で、「この法律の施行前にその音が最初に固定されたレコード」につい ては、新著作権法中著作隣接権に関する規定を適用しないと規定されたことによる。)、 同改正規定は平成八年一月一日に施行された(同改正法附則一条、平成七年政令第四〇号)。  (2)その後、平成八年法律第一一七号「著作権法の一部を改正する法律」(以下「平 成八年改正法」という。)により、現行著作権法原始附則2条3項は削除され、レコード の著作隣接権は、世界貿易機関の加盟国に係るレコードについても、その音を最初に固定 した時に始まり、その日の属する年の翌年から起算して五〇年間、保護の対象とされるこ ととなり(著作権法一〇一条二号)、同改正法は、平成九年三月二五日に施行された(同 改正法附則一条、平成九年政令第二三号)。  (二)ところで、平成八年改正法により新たに著作隣接権の保護の対象となったレコー ドで右改正法施行前に作製された複製物(以下「施行前複製物」という。)の取扱いにつ いて、著作権法上は明示的に規定されていないが、これらのレコードは右改正法施行まで は著作隣接権に関し自由利用に供されていたものであるから、その施行期日前の複製、頒 布行為について著作隣接権侵害の問題は生じ得ないのは明らかであり、また、施行期日後 に施行前複製物を頒布する行為も、著作権法113条1項2号にいう「……著作隣接権を 侵害する行為によって作製された物…を…頒布…する行為」に該当しないから、同規定に より著作隣接権を侵害する行為とみなされる余地はなく、その他、施行前複製物の頒布を 著作隣接権侵害に当たると解する根拠は見当たらない。  そうすると、平成八年改正法により新たに著作隣接権の保護の対象となったレコードに ついて、右改正法の施行期日前に複製する行為、また、右施行期日の前後を問わず、施行 前複製物を頒布する行為は、いずれも、著作隣接権を侵害するものではないと解される。  (三)(1)前記第二の二2に記載のとおり、本件各レコードに録音されている音は、 一九五四年から一九六〇年にかけて、それぞれ米国において固定されたものであり、米国 は世界貿易機関の加盟国であるから、本件各レコードの著作隣接権は、平成八年改正法に より新たに著作隣接権の保護の対象となったものである。  したがって、平成八年改正法施行期日(平成九年三月二五日)前の本件各レコードの複 製行為及び施行前複製物の頒布行為は、いずれも本件各レコードの著作隣接権を侵害する ものではないということになる。  (2)丙第二号証及び被告ヴィーナス代表者本人尋問の結果によれば、被告ヴィーナス は、平成八年一二月末日以降、被告商品を製造しておらず、また、被告らは、平成九年二 月一三日以降、被告商品の販売を中止していることが認められる。  したがって、被告らによる過去の被告商品の製造、販売行為は、本件各レコードの著作 隣接権を侵害するものではない。  2 争点一4(差止めの必要性)について  (一)1で判断したところから明らかなように、被告らの過去の被告商品の製造、販売 は、本件各レコードの著作隣接権(これが何人に帰属するかはひとまず措くこととする。) を侵害するものではない。しかし、被告らが今後本件各レコードを複製する場合には、本 件各レコードの著作隣接権を侵害することになる。  (二)そこで、被告らが将来、本件各レコードを複製した上で頒布するおそれがあるか を検討する。  前記1(三)(2)で認定したとおり、被告ヴィーナスは、平成八年改正法施行期日前 に被告商品の製造、販売を中止している。乙第七号証及び第八号証によれば、被告らが被 告商品の製造、販売が許諾を受けた適法なものであるとの主張の根拠として提出する被告 ヴィーナスとインタープレイ社との間の契約書には、契約の存続期間は平成九年一二月末 日までとされていることが認められ、仮に被告らの許諾を受けたとする主張が事実であっ たとしても既に許諾期間は経過していること、前記のとおり本件各レコードの著作隣接権 が平成九年三月二五日以降は著作権法による保護の対象となり、新たに本件各レコードを 複製する行為が本件各レコードの著作隣接権を侵害するものとなったこと、被告らもその ことを認識していることを考え併せれば、被告らが、本件各レコードを今後新たに複製し て販売するおそれがあると認めることはできない。  そうすると、原告ジョルヂプジョルが本件各レコードの著作隣接権を有しているか否か を判断するまでもなく、右原告が被告らに対し、本件各レコードの著作隣接権に基づいて、 本件各レコードの製造、販売の差止めを求める部分については理由がないといわざるを得 ない。  二 争点二(原告第二図柄の著作権)について  1 争点二1(著作物性・権利濫用)について  (一)甲第一号証の一、三、甲第六号証の一、二、第一二号証の一、二、第二七号証、 検甲第三号証、原告スーパーストップ代表者本人尋問の結果及び弁論の全趣旨によれば、 原告第二図柄は、原告ジョルヂプジョルが独自に作成したものであることが認められる。  被告らは、原告第二図柄は創作性を欠き、原告ジョルヂプジョルの著作物ではないと主 張する。そこで検討するに、前掲甲第六号証の一、二及び検甲第三号証並びに弁論の全趣 旨によれば、原告第二図柄の背景図柄は、楽器(ドラム)を前にした演奏家(本件第二レ コード収録曲の演奏家のリーダーであるドラマーのジョー・ジョーンズ)の写真であるこ と、右写真の著作者は原告ジョルヂプジョルではないことが認められるが、前掲各証拠に よれば、原告第二図柄は、演奏家の写真を背景図柄として使用しているのみならず、右上 部分に黄色のデザイン化された文字で「JO JONES」と、また、その下に赤色のやや小さめ の文字で「SEXTET」と題名が表示され、さらに、中段右寄りに白色の文字で三列にわたり 六名の演奏家の名前等が表記されていることが認められ、題名の構成、題名、演奏家名等 の表示の配置、背景写真とこれらの位置関係等において、なお、思想又は感情を創作的に 表現したものであって、美術の範囲に属するもの(著作権法2条1項1号)ということが できるから、原告第二図柄は原告ジョルヂプジョルの創作した著作物であると認められる。  (二)被告らは、原告第二図柄は写真家の著作権、演奏家の肖像権を侵害するものであ って、これに基づく請求は権利濫用であると主張する。  しかし、(一)で認定判断したとおり、原告第二図柄それ自体が著作物であるところ、 仮にこの著作物に他人が著作権を有する写真が許諾なく使用されていたとしても、著作権 法の観点からは、原著作物を翻案したものとして二次的著作物(著作権法2条1項11号) として原著作物の著作権に服することがあるとしても(同法28条)、当該二次的著作物 の著作権者が二次的著作物の複製権に基づいて差止めを請求することがただちに権利濫用 となるものではない。  また、原告第二図柄の利用行為が写真の被写体である演奏家の肖像権を侵害するもので あるか否かは本件全証拠によっても明らかでなく、この点を措くとしても、右の点は原告 第二図柄の作成者である原告ジョルヂプジョルと演奏家本人との関係で処理されるべき問 題であって、被告らの原告第二図柄の複製、頒布を正当化する根拠となるものではなく、 また、原告第二図柄の著作権に基づく請求が権利濫用になるものではないと解するのが相 当である。  したがって、被告らの主張はいずれも採用することはできない。  2 争点二2(許諾)について  被告らは、本件各レコードの複製、頒布についてエベレスト社から許諾を受けた米国法 人インタープレイ社から、複製、頒布の再許諾を受けていると主張する。  しかし、原告第二図柄は、原告ジョルヂプジョルが作成したものであることは前記認定 のとおりであり、エベレスト社が原告第二図柄の複製、頒布につき何らかの権限を有する と認めるに足りる証拠は存しないから、被告らの主張に理由がないことは明らかである。  3 争点3(差止めの必要性)について  前記一1(三)(2)及び一2(二)で認定判断したとおり、被告ヴィーナスは、平成 八年一二月末日以降、被告商品を製造しておらず、被告らは、平成九年二月一三日以降、 被告商品の販売を中止しており、さらに、本件各レコードを今後新たに複製して販売する おそれがあるとは認められない。  しかし、右の販売中止時点において既に製造していた被告商品のうちの本件第二レコー ドの処分については、本件全証拠によっても明らかでない。これらは、従前複製物であっ て、前記のとおり、その販売行為は本件第二レコードの著作隣接権を侵害するものではな く、被告らが主張するインタープレイ社との間の許諾期間が既に経過していることを考慮 に入れたとしても、なお、被告らが将来これらを販売するおそれはあるというべきである。  そして、遅くとも本件口頭弁論終結時点においては、被告らは、右の既に製造されてい る被告商品のうちの本件第二レコードが、原告ジョルヂプジョルの有する原告第二図柄の 複製権を侵害する行為によって作成されたものであると認識しているものということがで きるから、これを将来頒布する行為は原告ジョルヂプジョルの著作権を侵害する行為とみ なされることとなる(著作権法113条1項2号)。  したがって、原告ジョルヂプジョルが被告らに対し、被告第二図柄を付した本件第二レ コードの販売を差し止める必要性は認められる。  三 争点三(不正競争)について  1 争点三1(周知性)について  (一)フレッシュ・サウンド・レーベルによる製造、販売と周知性の取得について  本件全証拠によっても、原告各図柄が、原告ジョルヂプジョル又はフレッシュ・サウン ド社の商品を表示するものとして需要者の間に広く認識されていたと認めるには足りない (原告らは、原告商品を製造、販売するのは原告ジョルヂプジョルであると主張するが、 前記第二の二3に掲げた各証拠によれば、原告商品の製造、販売元がフレッシュ・サウン ド社であることは明らかというべきである。この場合に、原告ジョルヂプジョルが同社の 表示の周知性を主張して不正競争防止法に基づいて差止等を請求できるかという問題が別 個に存するが、この点は必要性がないので個々では判断せず、原告ジョルヂプジョル又は フレッシュ・サウンド社の表示として、以下論を進めることとする。)。  甲第一五号証、第一八号証の一、二、甲第二三号証及び原告スーパー・ストップ代表者 本人尋問の結果によれば、原告商品の日本国内での販売数量は、レコードとCDを合わせ て、本件第一レコードは四〇〇〇枚程度、本件第二レコードは二〇〇〇枚程度、本件第三 レコードは三〇〇〇枚程度、本件第四レコードは四〇〇〇枚程度であること、原告商品の うち、本件第一、第四レコードは、フレッシュ・サウンド社のカタログや雑誌に掲載され たことが認められるが、ジャズレコードの市場規模は本件全証拠によっても明らかでなく (原告スーパー・ストップ代表者は本人尋問において三〇〇〇枚程度売れれば「クリーン ヒット」であり、輸入盤では一〇〇〇枚程度であると供述し、被告ヴィーナス代表者は本 人尋問において、一万枚から二万枚程度で「クリーンヒット」であると供述するが、これ らを裏付ける資料は存しない。)、また、フレッシュ・サウンド社のカタログに掲載され ている原告第一、第四図柄は、数百枚のジャケットのうちの一枚ないし二枚にすぎない。 かえって、乙第一号証、第二号証によれば、スイングジャーナル一九七二年(昭和四七年) 一一月号に日本コロムビア株式会社が販売する、原告第一図柄とほぼ同一の図柄のジャケ ットを付した本件第一レコード及び原告第三図柄とほぼ同一の図柄のジャケットを付した 本件第三レコードが、スイングジャーナル一九九二年(平成四年)六月号には、日本フォ ノグラム株式会社が販売する原告第一図柄とほぼ同一の図柄のジャケットを付した本件第 一レコードがそれぞれ掲載されていることが認められることからすれば、原告各図柄が商 品表示主体としての原告ジョルヂプジョルあるいはフレッシュ・サウンド社を示すものと して需要者の間に広く認識されていると認めるに足りる証拠は存しないといわざるを得な い。  ところで、ジャケット図柄が商品表示として需要者に与える意味について検討すると、 ジャケット図柄は各レコードにより異なるものであり、また、原告スーパー・ストップ代 表者本人及び被告ヴィーナス代表者本人尋問の各結果によれば、ジャケット図柄の使用権 原は、その図柄が用いられたレコードの音源に関する権利の譲渡、使用許諾に付随して取 引されるのがレコード作製者の取引慣行となっていることが認められる。右事実によれば、 ジャケット図柄が商品の識別標識としての機能を有することがあるとしても、その識別対 象は、営業主体すなわちレコードの製造販売者ではなく、むしろ、レコードに収録された 楽曲や演奏家、ひいては特定の音源のレコードそのものとみるべきであって、いわば題名 と類似する機能を果たすのが通常であると考えられる。したがって、名盤として音楽ファ ンに知られたレコードの復刻盤の製造販売者が廃盤レコードと同一の図柄のジャケットを 付してレコードを製造、販売し、かつ、これを宣伝広告したとしても、需要者は廃盤レコ ードと同一の音源のレコードが復刻されたものと認識するにとどまるのが通常であって、 それを超えて、当該ジャケット図柄が復刻盤レコードの製造販売者の商品を表示するもの として需要者の間に周知となることが一般的であるとはいえない。本件において、原告各 図柄が復刻盤の音源との結びつきを超えて、製造、販売元の識別標識として需要者に広く 知られるに至るような特段の事情があったことを認めるに足りる証拠はない。  なお、原告らは、フレッシュ・サウンド・レーベルが有名であるとして、そこから原告 各図柄の周知商品表示性が導かれるかのような主張をするが、レーベル自体が有名である ことと、当該ジャケット図柄の識別標識としての機能は別個のものと考えるべきであり、 その機能については右に述べたとおりであるから、原告の右主張を採用することはできな い。  (二)また、原告ジョルヂプジョルは、本件各レコードの原盤権をエベレスト社から譲 り受け、これとともにジャケット図柄の利用権原も譲り受けたから、原告ジョルヂプジョ ルは、エベレスト社のもとで形成された周知性を正当に承継したと主張する。  しかし、前記(一)で述べたとおり、ジャケット図柄は、これが識別標識として需要者 の間に広く認識されるに至ったものであるとしても、その識別対象はレコード製造販売者 というよりはむしろ特定の音源のレコードそのものであるのが一般的というべきであると ころ、そのような識別標識としてのジャケット図柄に関する周知性という事実状態を、需 要者の認識を離れて、当事者間の契約により承継し得るものではないと解すべきである。 そしてまた、先に述べたようなジャケット図柄の識別標識としての機能からすれば、この ような図柄を当該音源を収録したレコードのジャケットとして用いる限りにおいては、需 要者の誤認混同を生じさせるものではないのであって、音源に関する権利の保護と離れて、 これを不正競争防止法による保護の対象とする必要性も認められない。  したがって、原告ジョルヂプジョルがエベレスト社のもとで形成された周知性を承継し たとする主張を採用することはできない。  (三)よって、原告ジョルヂプジョルの不正競争防止法に基づく請求は、いずれもこれ を採用することはできない。  2 争点三4(原告スーパー・ストップの請求の可否)について  原告スーパー・ストップの不正競争防止法に基づく請求は、前記のとおり原告ジョルヂ プジョルの請求に理由がなく、また、原告各図柄が原告スーパー・ストップの商品表示と して需要者の間に広く認識されていると認めるに足りる証拠もないから、その余の点を判 断するまでもなく理由がない(なお、原告スーパー・ストップは、本訴において、被告ら の不正競争行為によって自己の営業上の利益を侵害され、又はそのおそれがあると主張し ている者であるから、当事者適格自体は肯定できる。)。  四 争点四(信用回復措置の必要性)について  不正競争防止法七条の規定に基づく原告らの請求は、被告らの不正競争行為の存在とい う前提を欠き、これを認めることはできない。また、著作権法115条は、著作者人格権 を侵害された場合の名誉回復等に関する規定であることは、その規定の文言上明らかであ るが、原告らは、本訴において著作者人格権侵害の主張をしていないから、これを認める 余地はない。  五 よって、原告ジョルヂプジョルの請求は、主文第一項の限度で理由があり、原告ジ ョルヂプジョルのその余の請求及び原告スーパー・ストップの請求はいずれも理由がない (仮執行宣言を付すのは相当でないから、これを付さないこととする。)。 (平成一一年六月二九日口頭弁論終結)    大阪地方裁判所第二一民事部      裁判長裁判官 小松一雄         裁判官 渡部勇次         裁判官 水上 周