・東京地判平成11年9月30日判時1700号143頁  酸性糖タンパク質特許事件:第一審。  本件は、「酸性糖タンパク質」についての特許権を有する原告(雪印乳業株式会社)が、 被告(麒麟麦酒株式会社)の製造する遺伝子組替エリスロポエチンおよびこれを使用した 製剤は、いずれも原告の右特許権を侵害するものであるとして、被告に対し、それらの製 造の差止めお呼びはいき、製剤の販売の差止等を求めた事案である。  判決は、特許請求の範囲に製造法の記載がある場合(いわゆる「プロダクト・バイ・プ ロセス」クレーム)における技術的範囲について、一般に、特許請求の範囲が製造方法に よって特定された物であっても、対象とされる物が特許を受けられるものである場合には、 特許の対象はあくまで製造方法によって特定された物であって、特許の対象を当該製造方 法によって製造された物に限定して解釈する必然はなく、これと製造方法は異なるが物と して同一であるものも含まれると解することができるとしたうえで、本件明細書には製造 方法が「性質」の一つとして記載されていること等に照らしても、本件酸性糖タンパク質 は、必ずしも構成要件二aが掲げる製造方法によって得られたものに限定されるものでは なく、その製造方法によって特定される物と同一の構造ないし特性を有すれば足りると判 示して、原告の請求を棄却した。 (控訴審:東京地判平成13年1月31日)