・東京高判平成11年9月30日判時1704号131頁  「日本美容医学研究会」商標事件。  被告(財団法人日本美容医学研究会)は「財団法人日本美容医学研究会」なる登録商標 の商標権者である。原告(日本美容医学研究会)は、定款を定め、「日本美容医学研究会」 との名称で皮膚と化粧料の研究およびその助成等の事業を営むなどする社団である。原告 は、被告を相手方として、右登録商標が商標法4条1項8号にいう「他人の名称」にあ たるとして、登録無効の審判を請求したところ、審決は、右登録商標が法人格を有しない 団体における「他人の名称」にあたるとしても、原告は権利能力を有しないから、商標法 4条1項8号により商標登録を無効とする利益を享受することができないとして、原告の 無効審判請求を認めなかった。本件は、原告が右審決を不服として起こした取消訴訟であ る。  本判決は、商標法77条2項により準用される特許法6条によれば、法人でない社団ま たは財団で、代表者の定めがあるものは、その名において、すなわち当事者として、商標 法46条1項の商標登録の無効の審判を請求することができることは明らかであるとし、 これを前提として、少なくとも無効の審判により守られるべきだとされている類型の利益 については、それを無効の審判の手続で守ろうとする限りにおいては、権利能力なき社団 も権利能力ある社団(法人)と同じに扱うべきものと解すべきであるとし、原稿が商標登 録を無効とする利益を享受することができないとした審決を違法であるとして取り消した。