・東京高判平成11年11月17日判決速報296号9123  「ノンタン」シリーズ著作権事件:控訴審。  本件絵本は、「ノンタン」とよばれる一定の外面的特徴を与えられた子猫が主人公とし て描かれているものであるが、本件絵本は、いずれも原告と、亡大友が共同著作者として 表示されており、著作権法14条により、本件著作物は両名の共同著作物であると推定さ れる。また、テレビ放映においても共同で創作したものとして紹介されている。しかしな がら、著作者とは、当該著作物の表現に創作的関与をしたものであり、創作的寄与におよ ばない単なる補助者は著作者たりえない。本件絵本の創作的表現の核心部分は、扱うテー マやストーリーを構想し、これを具体的に表現する絵柄やその配置、配色の決定および文 字記述部文にあるところ、亡大友の関与は、色塗りや仕上げの輪郭線をひく作業の中で、 亡大友が豊富な経験を生かし技術を駆使したとしても、これらはいずれも補助的作業にと どまるとして、同人を著作者とは認められない。原審は、以上のように判示して、亡大友 の訴訟承継人(原審被告)の主張を退けたうえ、被告会社が本件商品を製造することは本 件絵本の複製権を侵害するものであるとして、原告の差止請求を認容した。本件控訴審判 決は、原審判決を維持して控訴人(原審被告)による控訴を棄却した。 (第一審:東京地判平成10年3月20日) ■判決文  理  由 一 当裁判所も、被控訴人の控訴人らに対する本訴請求は理由があり、控訴人らの被控訴 人に対する反訴請求は理由がないものと判断する。  その理由は、次のとおり、付加、訂正し、控訴人らの当審における主張に対し後記二の とおり判断するほかは、原判決理由欄と同じであるから、これを引用する。 《中 略》 二 控訴人らの当審における主張について 《中 略》 三 以上によれば、原判決は正当であって、本件控訴は理由がないから、これを棄却する こととし、控訴費用の負担につき民事訴訟法六一条、六七条一項本文を適用して、主文の とおり判決する。 東京高等裁判所第一三民事部 裁判長裁判官 田中 康久    裁判官 石原 直樹    裁判官 清水 節