・東京地判平成13年1月22日判時1738号107頁  「タカラ本みりん入り」事件:第一審  本件は、だし、つゆに「タカラ本みりん入り」というラベルを付して販売する被告 (寳酒造株式会社)の行為が、原告(宝醤油株式会社)の有する商標権を侵害し、かつ、 不正競争防止法二条一項一号に該当すると主張して、原告が被告に対し、商標権及び不 正競争防止法に基づいて、右だし、つゆの販売の差止め及び損害賠償を請求した事案で ある。判決は、「被告は、本件各標章の「タカラ本みりん入り」の表示部分を商標とし て(すなわち自他商品の識別機能を果たす態様で)使用しているものではないと判断で きる」「被告各標章における「タカラ本みりん入り」の表示部分は、専ら被告商品に 「タカラ本みりん」が原料ないし素材として入っていることを示す記述的表示であって、 商標として(すなわち自他商品の識別機能を果たす態様で)使用されたものではないと いうべきである。のみならず、右表示態様は、原材料を普通に用いられる方法で表示す る場合(商標法26条1項2号)に該当するので、本件各商標権の効力は及ばない」と して商標権にもとづく主張を退けたうえ、不正競争防止法についても、「被告各標章に おける「タカラ本みりん入り」の表示部分は、専ら被告商品に「タカラ本みりん」が原 料ないし素材として入っていることを示す記述的表示であると解すべきであるから、被 告が「タカラ本みりん入り」の表示部分を含む被告各標章を付して被告商品を販売する 行為は、不正競争防止法二条一項一号所定の商品表示等を使用する行為に該当しない」 として、請求を棄却した。 (控訴審:東京高判平成13年5月29日) ■争 点 1 被告は被告各標章の「タカラ本みりん入り」の記載部分を商標として使用しているか。 2 被告は、自己の著名な略称又は原材料名を、普通に用いられる方法で表示している か。3 被告各標章は、本件各登録商標と同一又は類似か。 4 「宝」及び「寶」の商標は、原告の商品又は営業を示すものとして周知であるか。 また、被告が被告各標章を使用する行為は、原告の商品又は営業と混同を生じさせる行 為か。 5 損害額