・東京地判平成13年1月30日  写真付葉書製造装置冒認出願事件。  本件は、写真付葉書製造装置の特許権を有する原告が、被告(ネクサス株式会社)に対 し、被告の製造販売する装置が原告の特許発明の技術的範囲に属し、その製造販売が右特 許権を侵害すると主張して、特許権に基づき製造販売行為の差止め並びにに補償金及び損 害賠償を求めたのに対し、被告が、冒認出願を理由とする特許無効などを主張して争って いる事案である。  判決は、「本件特許発明は、敬文又は被告従業員により発明されたものであり、原告に よる本件特許出願は、発明者でない者であってその発明について特許を受ける権利を承継 しない者による出願であるから、本件特許は、特許法一二三条一項六号により無効とされ ることを免れない。そして、特許に無効理由が存在することが明らかであるときは、その 特許権に基づく差止め、損害賠償等の請求は、特段の事情がない限り、権利の濫用に当た り許されないと解するのが相当である(最高裁平成一〇年(オ)第三六四号同一二年四月一 一日第三小法廷判決・民集五四巻四号一三六八頁)から、原告による本訴請求は権利濫用 に当たり許されない」として、原告の請求を棄却した。