・東京高判平成13年3月27日判時1747号60頁  中古ゲームソフト販売事件〔東京訴訟〕:控訴審。  本件は、控訴人が、原判決別紙ゲームソフト目録記載の各ゲームソフト上の「映画の著 作物」に該当し、これらについて法26条1項の頒布権を有すると主張して、本件各ゲー ムソフトの中古品を販売している被控訴人に対し、その販売の中止を求めたのに対し、被 控訴人が控訴人を相手方として、本件各ゲームソフトの著作権に基づく中古品販売差止請 求権の不存在確認を求めた事案である。原判決は、本件各ゲームソフトは法2条3項にい う「映画の著作物」に該当しないとし、これを前提に被控訴人の請求を認容した。  判決は、「著作権法上の「映画の著作物」に関する各規定は、多くは劇場用映画を念頭 に置いて設けられたものであるとはいえるものの、頒布権を定める法26条1項を除き、 これらを劇場用映画の配給制度を前提として設けられたものであるとすることはできない」 などとして、本件各ゲームソフトは著作権法2条3項にいう「映画の著作物」に該当する としながらも、「当裁判所は、法26条1項の立法の趣旨に照らし、同条項にいう頒布権 が認められる「複製物」とは、配給制度による流通の形態が採られている映画の著作物の 複製物、及び、同法条の立法趣旨からみてこれと同等の保護に値する複製物、すなわち、 一つ一つの複製物が多数の者の視聴に供される場合の複製物、したがって、通常は、少数 の複製物のみが製造されることの予定されている場合のものであり、大量の複製物が製造 され、その一つ一つは少数の者によってしか視聴されない場合のものは含まれないと、限 定して解すべきであると考える。……本件各ゲームソフト複製物が、上記の、大量の複製 物が製造され、その一つ一つは少数の者によってしか視聴されない場合のものであること は明白である。したがって、これらは、法26条1項にいう「複製物」に当たらず、した がって頒布権の対象にならないものというべきである」などとして、控訴を棄却した。 (第一審:東京地判平成11年5月27日、上告審:最判平成14年4月25日)