・大阪地判平成13年10月11日  TLS−SYSTEM事件。  原告は、被告との間で継続的商品(ソフトウエア)取引契約を締結し、本件契約に 基づき、織布情報プログラム「TLS−SYSTEM」のソースコードを開示した。 被告は、訴外ソフトプロと、ラッセルレース編機用デザイン・データ出力及び編集用 プログラムの開発と販売に関する契約を締結し、訴外は、同契約に基づきコンピュー タソフトウエア「LECS」を作成した。原告は、被告に対し、@LECSは、本件 契約第3条にいう「開示されたソースプログラムを元に変更を加えた製品」に当たり、 被告が本件プログラム又はLECSを装着した製品を販売した本数は50本を下らな いとして、主位的に本件契約第4条に基づく料金3500万円の支払を求め、A仮に、 被告のLECSの販売が本件契約に基づくものでないとしても、被告の行為は、本件 プログラムについての原告の著作権(複製権ないし翻案権)を侵害するものであると して、予備的に著作権侵害による損害賠償として3500万円を請求した。  判決は、「LECSは、本件プログラムのうちの創作性のある部分を含む一部を複 製してこれに改変を加えたものであり、本件プログラムとは同一の範囲を脱したもの であるが、ソフトウエアとして本件プログラムと全く異なった程度には改変されたも のとはいえず、表現上の本質的な特徴の同一性が維持され、実質的に類似するものと いうことができ、全体として本件プログラムを翻案したものに当たると認めるのが相 当である」、「LECSは本件プログラムの翻案物であり、本件契約第3条にいう 「開示されたソースプログラムを元に変更を加えた製品」に当たるというべきである から、被告は、本件契約第4条及び本件覚書に基づき、原告に対し、LECS1セッ ト当たり70万円及び消費税(ただし、同一の顧客に対し2台目以降を追加で販売し た時は35万円及び消費税)の契約料金を支払うべき義務を負う」として、原告の請 求を認容した。 ■争 点 〔主位的請求〕 (1) LECSは、本件プログラムを元に変更を加えた製品(本件契約第3条)として、 本件契約第4条の適用を受けるか。 (2) 本件契約は終了したか。 (3) 被告が本件契約に基づき支払うべき料金の額 〔予備的請求〕 (4) 被告は、本件プログラムの著作権を譲渡されたか。 (5) LECSは本件プログラムを複製又は翻案したものといえるか。 (6) (5)が認められる場合、被告に故意又は過失があるか。 (7) 原告の損害額。