・最判平成13年10月25日判時1767号115頁  「キャンディキャンディ」事件:上告審。  上告棄却。 (第一審:東京地判平成11年2月25日、控訴審:東京高判平成12年3月30日) ■判決文 主  文  本件上告を棄却する。  上告費用は上告人の負担とする。 理  由  上告代理人西村國彦、同奈良次郎、同松村昌人、同上田直樹、同望月賢司及び上告代 理人花岡巖、同唐澤貴夫、同本橋光一郎、同小川昌宏、同下田俊夫の各上告受理申立て 理由について  原審の適法に確定したところによれば、本件連載漫画は、被上告人が各回ごとの具体 的なストーリーを創作し、これを400字詰め原稿用紙30枚から50枚程度の小説形 式の原稿にし、上告人において、漫画化に当たって使用できないと思われる部分を除き、 おおむねその原稿に依拠して漫画を作成するという手順を繰り返すことにより制作され たというのである。この事実関係によれば、本件連載漫画は被上告人作成の原稿を原著 作物とする二次的著作物であるということができるから、被上告人は、本件連載漫画に ついて原著作者の権利を有するものというべきである。そして、二次的著作物である本 件連載漫画の利用に関し、原著作物の著作者である被上告人は本件連載漫画の著作者で ある上告人が有するものと同一の種類の権利を専有し、上告人の権利と被上告人の権利 とが併存することになるのであるから、上告人の権利は上告人と被上告人の合意によら なければ行使することができないと解される。したがって、被上告人は、上告人が本件 連載漫画の主人公キャンディを描いた本件原画を合意によることなく作成し、複製し、 又は配布することの差止めを求めることができるというべきである。  以上によれば、被上告人が本件連載漫画の一部である本件コマ絵及び本件連載漫画の 主人公キャンディの絵の複製である本件表紙絵につき原著作者の権利を有することの確 認と、本件原画を作成し、複製し、又は配布することの差止めを求める被上告人の請求 を認容すべきものとした原審の判断は、正当として是認することができる。上記判断は、 所論引用の判例に抵触するものではない。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用する ことができない。  よって、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 裁判長裁判官 井嶋 一友    裁判官 藤井 正雄    裁判官 町田 顯    裁判官 深澤 武久