・東京地判平成13年11月29日  「SONYBANK.CO.JP」事件  本件は、原告(合資会社壱)が、工業所有権仲裁センター紛争処理パネルにおいて、 「ドメイン名『SONYBANK.CO.JP』の登録を申立人に移転せよ。」との裁定を受けたこと を不服として、同ドメイン名につき所有権を有していることの確認を求めたのに対し、 被告(ソニー株式会社)が、ドメイン名に対する所有権は観念できないなどと主張して、 訴えの却下を求めた事案。  判決は、「ドメイン名について登録者が有する権利はJPNICに対する債権的な権利にす ぎない」などとして、請求を却下した。 ■判決文  以上の認定事実によれば、@インターネット利用者は、登録規則の内容を承認した上 でJPNICに申請することにより、ドメイン名の登録を受け、また、既に登録されているド メイン名につき移転登録を受けることができること、Aドメイン名の登録は、インター ネット上での識別子として用いることを目的として行うもので、これ以外のいかなる意 味も有さないこと、Bドメイン名の登録、移転についてはJPNICの承認が必要であり、一 定の事由があればJPNICからその登録を取り消されることなどが認められるものであって、 これらに照らせば、ドメイン名登録は、インターネット利用者とドメイン名登録機関であ るJPNICとの間で登録規則をその内容(契約約款)とする私的な契約により付与されるも のであり、ドメイン名登録者はJPNICに対する債権契約上の権利としてドメイン名を使用 するものであって、ドメイン名について登録者が有する権利はJPNICに対する債権的な権 利にすぎない。したがって、本件において、本件ドメイン名を所有権の対象と観念する 余地がないことは明らかであるから、「原、被告間で、原告がドメイン名『WWW.SONYBA NK.CO.JP』につき所有権を有していることを確認する。」との裁判を求める原告の本訴 請求は、確認を求める法律関係について法的前提を欠くものであり、確認の利益を欠く ものとして不適法なものであるから、却下すべきものである。