・東京地判平成13年12月3日判時1768号116頁  コメットハンター事件。(平成13年(ワ)22110号)  原告らは、それぞれ各界著名の評論家、文化人ないし経営者であって、それぞれ、 大手出版社による書籍の出版などを通じ、その著作活動についても広く知られている 著名人である。被告(有限会社コメットハンター )は、「速読本舗」なるウェブサイ トを訴外A(ビックエル・グループ)が提供するサーバーにおいて開設して有料の会 員を募り、ビジネス書を中心とした書籍を改変した要約文を作成し、これをインター ネットを利用したメールサービスによって会員に公衆送信し、また、一部の書籍要約 文については本件ウェブサイトにおいて送信可能化している。本件は、原告が、被告 の行為が、原告らが本件各書籍について有する翻案権、原著作者として有する複製権 並びに公衆送信権及び公衆送信可能化権を侵害するとともに、原告らの許諾なく本件 各書籍を改変しているものであるから、著作者人格権を侵害するとして、差止および 損害賠償を請求した事案である。  判決は、被告欠席により原告の請求を認容した。なお、同日、原告とプロバイダー である訴外Aとの間で、Aがそのサーバーを提供するウェブサイト開設者(発信者) との「インターネットプロバイダーとしての役務提供に関する契約」を解約したこと を確認し、著作権者はプロバイダーに対して損害賠償請求権を行使しないことなどを 内容とした裁判上の和解が成立した。 ■判決文 第3 理由 被告は、本件口頭弁論期日に出頭せず、答弁書その他の準備書面を提出しない。 したがって、被告において請求原因事実を争うことを明らかにしないものとして、こ れを自白したものとみなす。 上記の事実によれば、原告らの請求はいずれも理由がある。 東京地方裁判所民事第29部 裁判長裁判官 飯村 敏明    裁判官 今井 弘晃    裁判官 石村 智 ■和解条項 一 Aは原告らに対し、被告がAをインターネットプロバイダーとして本件書籍要約文 を自動公衆送信等して原告らの著作権及び著作者人格権を侵害していたことを認め、原 告らからAへの警告にもかかわらずAが適切な調査及び対応を行わなかったために原告 らが本件訴訟を提起せざるを得なくなったことについて、謝罪する。 二 Aは原告らに対し、Aが被告とのインターネットプロバイダーとしての役務提供に 関する契約を解除し、Aの事務所において被告が所有・管理していたサーバーとインタ ーネットとの接続が切断されていることを確認する。また、Aは原告らに対し、今後、 被告との間でインターネットプロバイダーとしての役務提供に関する契約を再締結した り、インターネットへの接続を再開したりしないことを確約する。 三 Aは原告らに対し、本件と同様の問題が発生した場合には速やかに適切な調査及び 対応を行うことを確約する。 四1 原告らは第一項乃至第三項を了とし、Aに対し本件に関し損害賠償請求を行わな い。 四2 原告らとAとは、本件に関し、本和解条項に定めるほか、何らの債権債務のない ことを相互に確認する。 五 原告は、その余の請求を放棄する。 六 訴訟費用は各自の負担とする。 以上