・東京地判平成14年1月24日  図書券不正競争事件。  本件は、全国共通図書券の発行、販売を行っている株式会社である原告(日本図書 普及株式会社)が、被告(ブックオフコーポレーション株式会社)がその店内におい て「図書券の利用が可能である」旨の掲示をし、同内容のチラシを商圏内に配布し、 顧客の持参する全国共通図書券と図書との引換えをする行為は、不正競争防止法2条 1項1号所定の不正競争行為に該当すると主張して、被告に対し、@全国共通図書券 と図書との引換えの差止め(請求の趣旨第1項)、A店舗内に「図書券の利用が可能 である」旨の掲示をし、同内容のチラシを配布することの差止め(同第2項)、B領 収書への図書券による領収の欄を印刷することの差止め(同第3項)、C前記Aの掲 示及びチラシの廃棄(同第4項)並びにD弁護士費用等の損害の賠償(同第5項)を それぞれ求めている事案である。  判決は、「「図書券」は、原告、指定取次会社及び書店(加盟店)の三者を契約当 事者とする本件加盟店契約に定められた方法により決済される図書のみを対象とする 商品券であって、この決済システムにより図書券を換金することができるのは原告加 盟店のみであり、かつ、図書券が原告加盟店において利用可能であることが一般消費 者の間で広く認識されていたのであるから、「図書券の利用が可能である」旨の本件 表示は、不正競争防止法2条1項1号にいう周知の「商品等表示」に該当するものと 解するのが相当である」としたうえで、「被告の上記行為は、原告、指定取次会社及 び加盟店からなるグループに属する店舗の営業を示すものとして需要者の間に広く知 られた本件表示と類似する表示を使用して、同グループに属する店舗の営業と混同を 生じさせるものであるから、不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争行為に該当 するというべきである」として、原告の差止および損害賠償請求を認容した。 ■争 点 (1) 「図書券の利用が可能である」旨の表示が原告の周知の「商品等表示」(不正競 争防止法2条1項1号)に当たるか(争点1)。 (2) 被告の行為が、不正競争防止法2条1項1号所定の不正競争行為に当たるか(争 点2)。 (3) 原告に生じた損害の額(争点3)