・東京地判平成14年5月31日  「ぼくは航空管制官」事件  本件は、原告(株式会社シスコンエンタテイメント)が、被告(株式会社タム)に対 して、原告の有する商標権「ぼくは航空管制官」(指定商品:家庭用テレビゲームおも ちゃ)に係る商標と同一の標章を付してゲームソフトを販売する被告の行為が商標権を 侵害するとして損害賠償を請求した事案である。なお、原告は、平成12年8月24日 に「任天堂スペースワールド2000」が開催され、被告ソフトの発売が公表され、こ れを知った直後である平成12年10月12日、テクノブレイン社の許諾を得ずに、本 件商標の出願手続を行った。  判決は、「被告標章は、被告ソフト又はその出所を識別するために付されたものであ って、商標的に使用されていると解される。また、上記認定した使用態様に照らすなら ば、被告標章は、商品の普通名称、品質等を普通に用いられる方法で表示されたものと 解することもできない」としながらも、「原告の被告に対する本件商標権に基づく請求 は、被告ソフトの製造について許諾を与えたテクノブレイン社の標章と同一の標章を自 ら商標登録した上、本件商標権に基づいて権利行使されたものであり、また、その目的 も、テクノブレイン社のライセンシーの製造、販売を妨げるためにされたものと解され るから、正義公平の理念及び公正な競争秩序に反するものとして、権利の濫用に当たり 許されないというべきである」として、原告の請求を棄却した。