・大阪地判平成14年12月10日  「21世紀の健康法 気」事件  本件は、原告が、「21世紀の健康法 気」と題する書籍の著作権者は原告であるに もかかかわず、被告らが、同書籍を複製ないし翻案した別紙物件目録記載の通信教育用 の教材を原告に無断で制作、販売し、これに基づいて通信教育を実施したとして、@被 告株式会社総通及び被告Bに対し、同通信教育の教材の頒布等の差止め及び廃棄を、A 被告らに対し、原告著作権(複製権ないし翻案権)の侵害に基づく損害賠償請求ないし 不当利得の返還を、B原告の著作者人格権の侵害に基づく慰謝料を、C被告Bに対し、 原告著作権(複製権ないし翻案権)の侵害に基づいて、同被告が同通信教育の教材の制 作、通信教育の実施に関して得た利益に相当する額の損害賠償を、D被告総通に対し、 原告の著作者人格権の侵害に伴う名誉回復措置を、それぞれ請求するとともに、被告B に対し、不当利得として、その全額を受領した同書籍に係る著作権使用料の2分の1の 金員の返還を請求した事案である。  判決は、「本件書籍における創作的な表現は、原告が掲載を提案した気功法に関する 部分も含め、原告及び被告Bが共同で行ったものであり、本件書籍は原告及び被告Bの 寄与を分離して個別的に利用することができないものであるから、共同著作物(著作権 法2条1項12号)に当たるというべきである」とし、「原告の許諾なく、本件書籍を 複製、翻案した本件教材を制作、販売、本件教材を利用した本件通信教育を実施するこ とは、原告の本件書籍に係る著作権を侵害するものといえる」「被告らは、原告が著作 権持分を有する本件書籍を、原告に無断で2次的利用した本件教材を制作し、これをも とに本件通信教育を実施したものであって、しかも、本件教材には原告の氏名を表示し なかったのであるから、同行為は、原告の本件書籍に関する同一性保持権(著作権法2 0条)、氏名表示権(同法19条)を侵害するものといえる」として、損害賠償および 差止の請求を認容した。