・東京高判平成14年12月10日  「浮世絵春画一千年史」事件:控訴審  原判決は、被控訴人主張の著作者人格権の侵害を認めて本訴請求を一部認容し、反訴 請求を全部棄却した。控訴人らは、これを不服として控訴を提起した(なお、原審被告 Bは控訴を提起せず、同人との間では、原判決が確定した。)。  判決は、原審判決と一部異なり、デジタルワーク作業について、浮世絵画像の制作当 時の色彩や技巧を再現するためになされる作業者の造詣の内容によって、デジタルワー ク作業の結果に作業者の個性が表われることは明らかであるから、デジタルワーク後の 画像自体には創作性があり、その限度で著作物性が認められるとしながらも、「しかし ながら、原審被告Bにデジタルワーク作業後の画像に対する上記の意味での著作者とし ての権利があるからといって、そのことから、直ちに、原審被告Bに、本件出版物の出 版に向けての作業の過程において、被控訴人の単独著作物である本件ペーパーレイアウ トの内容を改変する権限があるとすることができるものではない」として、「控訴人ら は、上記改変の事実を知りながら、故意にその事実を被控訴人に告げないままにしたの であるから、共同不法行為により被控訴人の著作者人格権(同一性保持権及び氏名表示 権)を侵害したものというべきである」とした。 (第一審:東京地判平成13年9月20日)