・東京地判平成14年12月19日  自宅設計図事件  原告(株式会社カイ設計)は建築の設計監理等を業とする会社であり、被告の依頼に よりその自宅の設計図面を作成して被告に交付したが、その後両者の間の契約が解消さ れたため、被告は別の業者に自宅の設計監理を依頼した。原告は、@被告は原告の許諾 を得ることなく原告作成の設計図面を利用して別の業者をして設計図面を作成させたも のであり、被告の行為は著作権(複製権)及び著作者人格権の侵害に当たる、A被告の 上記行為は、知的創造物に対する法的利益を侵害する民法上の一般不法行為に当たる、 B被告の上記行為は、契約終了に伴う信義則に違反する、C被告が、上記行為により、 設計料相当額の支払を免れたことは不当利得に当たると主張して、被告に対し、損害賠 償を求めた。  判決は、「建築設計図面については、表現方法又は表現された学術的な思想に創作性 が認められるものであれば著作物に該当するものというべきであるが、作図上の工夫や 図面により表現されたがありふれたものであって、創作性が認められない場合には、当 該図面をもって著作物ということはできない」としたうえで、「原告設計図書は著作物 に該当するものとはいえない」などとして、請求を棄却した。