・東京地判平成15年2月20日  マイクロダイエット事件:第一審  原告(サニーヘルス株式会社、日本ユニバイト株式会社)は、水に溶かして飲む粉末 タイプの超低カロリー栄養食品「マイクロダイエット」(原告商品)を主力商品として 製造・販売しているところ、その容器、包装等に原告標章「マイクロダイエット」及び 「MICRODIET」を付して使用している。被告(株式会社ホルス、コスメディコ 株式会社、株式会社日本天然物研究所)は、原告商品と同種の粉末タイプの超低カロリ ー栄養食品「マイクロシルエット」の製造・販売に際し、その容器、包装等に被告標章 を付して使用している。  原告らは、原告標章は著名商品等表示又は周知商品等表示に該当するものであり、被 告らがこれと類似する被告標章を使用する行為は、不正競争防止法2条1項2号又は1 号所定の不正競争行為に該当すると主張して、被告らに対して、被告標章の使用の差止 め及び損害賠償を求めている。また、原告らは、被告らの広告の内容は商品の品質等を 誤認させるような表示をする行為であり、同項13号所定の不正競争行為に該当すると も主張して、損害賠償を求めている。  判決は、「原告標章(「マイクロダイエット」及び「MICRODIET」)は、原 告らの商品等表示として、需要者の間に広く認識されていた」としながらも、「著名な 商品等表示とまでは認められない」としたうえで、類似性、混同のおそれも肯定し、不 正競争防止法にもとづく差止および損害賠償請求を認容した。 (控訴審:東京高判平成15年9月25日) ■争 点 (1) 原告標章が、著名商品等表示(不正競争防止法2条1項2号)又は周知商品等表示 (同条項1号)に該当するか(争点1)。 (2) 被告標章が原告標章と類似するか(争点2)。 (3) 需要者の間で被告商品につき出所の混同(同項1号)が生じているか(争点3)。 (4) 被告標章が、被告登録商標の使用権の範囲内にあるか(争点4)。 (5) 被告らが被告登録商標の使用の抗弁を主張することが、権利の濫用に当たるものと して許されないか(争点5)。 (6) 前記2(8)記載の広告をする行為が、被告商品の品質等について誤認させるような 表示をする行為(不正競争防止法2条1項13号)に当たるか(争点6)。 (7) 原告らの損害額等(争点7)。 ■判決文  原告サニーヘルスによる有名雑誌を媒体とした宣伝広告が始まって約5年が経過し、 その販売実績が約1669万食分に達した平成6年末までには、原告らが原告商品に付 して使用する原告標章(「マイクロダイエット」及び「MICRODIET」)は、原 告らの商品等表示として、需要者の間に広く認識されていた(不正競争防止法2条1項 1号)ものというべきである。  しかしながら、他方、原告商品のようなダイエット食品については、その需要者の範 囲が比較的限定されているとともに(上記Eの市場調査においても、18〜34歳の女 性が対象とされている。)、毎日反覆して消費することが予定されている商品であるか ら、上記販売実績数においても、継続的に消費した需要者の分が相当数を占めているも のと考えられる。したがって、このような商品自体の特質等を考慮すれば、原告らの商 品等表示としての原告標章(「マイクロダイエット」及び「MICRODIET」)が、 「著名」(不正競争防止法2条1項2号)なものとまでいうことはできない。  以上のとおり、原告標章は、周知の商品等表示と認められるものの、著名な商品等表 示とまでは認められない