・東京地判平成15年2月26日  フランステレコム事務所設計図事件  原告(株式会社ベルチェアソシエイツ)は、被告フランステレコム株式会社の事務所 の設計及び施工の受注を競うコンペティションにおいて、別紙原告設計図1及び2記載 の各図面を作成した。原告は、被告フランステレコム及び同社の社員である被告Yが、本 件コンペに参加した被告明豊ファシリティワークス株式会社に対して原告設計図を原告 に無断で開示して同被告に原告設計図を複製させ、また、被告明豊が、原告設計図を無 断で複製したと主張して、被告らに対し、著作権及び著作者人格権侵害に基づく損害賠 償請求、不正競争防止法2条1項7号及び8号、4条に基づく損害賠償請求等を求めた 事案。  判決は、「設計図は、そのすべてが当然に著作権法上の保護の対象となるものではな い。設計図が著作物に該当するというためには、その表現方法や内容に、作成者の個性 が発揮されていることが必要であって、その作図上の表現方法や内容が、ありふれたも のであったり、そもそも選択の余地がないような場合には、作成者の個性が全く発揮さ れていないものとして、著作物には当たらないというべきである」としたうえで、著作 物性を肯定しながらも、「被告設計図と原告設計図を対比すると、各専用部分や通路の 具体的な形状及び具体的配置の組合せにおいて大きく異なるから、被告設計図は、原告 設計図と実質的に同一であるということはできず、また、原告設計図上に表現された創 作性を有する特徴的部分である具体的形状及び配置の組合せを感得することもできない」 として、著作権法上の請求を棄却するとともに、不正競争防止法その他の請求について も棄却した。 ■争 点 (1) 被告らに対する著作権及び著作者人格権侵害に基づく損害賠償請求   被告設計図は、原告設計図を複製ないし翻案したものに当たるか。 (2) 被告らに対する不正競争防止法2条1項7号及び8号、4条に基づく損害賠償請求   被告らが、原告の営業秘密を不当に開示し又は不正に使用したか。 (3) 被告フランステレコムに対する債務不履行に基づく損害賠償請求   被告フランステレコムが、契約上の秘密保持義務又は公正選考義務に違反したか。 (4) 被告らに対する民法709条の不法行為(債権侵害)に基づく損害賠償請求   被告らが、原告に対する債権侵害に基づく損害賠償義務を負うか。 (5) 被告フランステレコムに対する商法512条に基づく報酬支払請求   被告フランステレコムが、商法512条に基づく報酬支払義務を負うか。 (6) 損害額