・東京地判平成15年3月6日  打撃理論事件:第一審  原告は、野球の打撃理論等に関する文書である原告著作物を被告に送付し、被告はこ れを利用してプロ野球の公式戦等において競技を行っているものであるところ、本件文 書を原告作成に係る著作物と主張した上で、被告がこれを無断で使用したとして、著作 権の侵害に基づく損害賠償30万円の支払を求めている。  判決は、「原告著作物に記載されている野球の打撃理論等を被告が公式戦等の試合に おいて実践したとしても、当該行為は著作権法にいう著作者の権利を侵害するものでは ない。けだし、著作物とは、「思想又は感情を創作的に表現したもの」(著作権法2条 1項1号参照)であり、著作権法は、著作者の思想又は感情の創作的な表現を保護する ものであって、具体的な表現を離れた単なる思想又はアイデア自体は、著作権法上の保 護の対象とはされていないからである(最高裁平成11年(受)第922号同13年6月 28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁参照)。そして、本件において、原告 が著作権侵害として主張する内容は、単に、被告が原告著作物に記載された内容を参考 にして競技をしたというにとどまるものであって、原告著作物の具体的な表現を利用し たものとはいえない」として、請求を棄却した。 (控訴審:東京高判平成15年7月15日)