・東京高判平成15年5月28日  「ダリの世界」展カタログ事件:控訴審  被控訴人(デマート・プロ・アルト・ベー・ヴイ)は、スペインの画家サルバドール・ ダリの創作した絵画の著作物に係る著作権を同人との契約により譲り受けたとして、上記 著作権に基づき、(1) 控訴人ガラ−サルバドール・ダリ財団に対し、@ 上記絵画の複製 及び同絵画の掲載された書籍の頒布の各差止め並びに同書籍の廃棄、A 複製頒布行為に よる損害の賠償、B 虚偽の著作権者表示による損害の賠償を請求し、(2) その余の控訴 人ら(山梨県、広島県、財団法人ミモカ美術振興財団、株式会社松坂屋、株式会社近鉄百 貨店、株式会社伊勢丹、ガラ−サルバドール・ダリ財団)に対し、@ 複製頒布行為の差 止め及び書籍の廃棄、A 複製頒布行為による損害の賠償を請求した。  原判決は、上記契約は著作権の信託譲渡ではなく、著作権を時間的に一部譲渡する契約 であり、被控訴人が著作権者であるとした上、(1)の@に係る請求を認容し、(1)のA及び (2)のAに係る請求を一部認容し、その余の請求をいずれも棄却した。これに対し、控訴人 らのみが敗訴部分の取消しを求めて控訴しているので、(1)のB及び(2)の@に係る請求は 当審における審判の対象外である。  判決は、「本件契約は、スペイン法上の信託譲渡契約であって、ダリ作品に係る被控訴 人の権利は、1989年(平成元年)1月23日のダリの死亡により、又は遅くとも199 4年(平成6年)9月13日付け書面による文化省の通知をもって、確定的に失われたもの というべきである」として、原審判決を取り消して原告(被控訴人)の請求を棄却した。 (第一審:東京地判平成12年8月29日)