・東京地判平成15年7月18日  週刊ダイヤモンド記事複製事件  原告(株式会社ダイヤモンド社)が発行する「週刊ダイヤモンド」2002年2月16 日特大号に、「沈むマンション市場」と題する特集に本件記事が掲載され、その中で、ビ ル・マンション等不動産の総合管理等を目的とする被告会社(株式会社合人社計画研究所) が「2002年版大手マンション管理会社ベスト・ランキング」の4位に位置づけられた。  被告は、平成14年5月23日ころ、東京都杉並区の本件マンションの管理組合の平成 14年度理事長であるA(原告の社員)から、被告のマンション管理に関する参考資料の 請求を受けた。被告担当者Bは、Aに対し、被告の経歴書や毎月の管理に関する書類の見 本一式等に加え、本件記事の複製物1部を郵送した。また、Bは、同年8月24日、A宅 を訪れ、本件マンションの管理組合理事会に対して、被告のマンション管理の方針、方法 などについて説明及び質疑応答を行い、この際、本件記事の複製物を理事の人数分である 4部頒布した。さらに、Bは、同年9月1日、高井戸社会教育会館において、本件マンシ ョンの区分所有権者に対して、被告のマンション管理の方針、方法などについて説明及び 質疑応答を行い、この際、本件記事の複製物を30部頒布した。  本件は、原告が、被告が著作権者である原告に無断で本件記事を複製し複製物を頒布し たことが複製権の侵害に当たると主張して、被告に対し、著作権法112条1項、2項に 基づき、本件記事の複製及び複製物の頒布の差止め並びに複製物の廃棄を求めるとともに、 民法709条に基づき、著作権侵害による損害賠償を求める事案である。  判決は、本件記事の複製およびび複製物の頒布の差止めおよび廃棄、1万0500円の 損害賠償の請求を認容した。 ■争 点 (1) 本件記事の複製に関して、原告の黙示の承諾があったか。 (2) 被告による本件記事の頒布行為は、正当防衛に該当するか。 (3) 原告の本訴提起は権利濫用に当たるか。 (4) 損害の発生の有無及びその額 (5) 過失相殺の有無