・東京高判平成15年9月25日  マクロス映画事件:控訴審  控訴棄却。 (第一審:東京地判平成15年1月20日) ■判決文  「映画の著作物の「著作権」(著作者人格権を除く。)は、「映画製作者」に帰属する、 とする著作権法29条が設けられたのは、主として劇場用映画における映画会社ないしプ ロダクションを映画製作者として念頭に置いた上で、@従来から、映画の著作物の利用に ついては、映画製作者と著作者との間の契約によって、映画製作者が著作権の行使を行う ものとされていたという実態があったこと、A映画の著作物は、映画製作者が巨額の製作 費を投入し、企業活動として製作し公表するという特殊な性格の著作物であること、B映 画には著作者の地位に立ち得る多数の関与者が存在し、それらすべての者に著作権行使を 認めると映画の円滑な市場流通を阻害することになることなどを考慮すると、そのように するのが相当であると判断されたためである(当裁判所に顕著な事実)。  「映画製作者」の定義である「映画の著作物の製作に発意と責任を有する者」(著作権 法2条1項10号)とは、その文言と著作権法29条の上記の立法趣旨からみて、映画の 著作物を製作する意思を有し、同著作物の製作に関する法律上の権利・義務が帰属する主 体であって、そのことの反映として同著作物の製作に関する経済的な収入・支出の主体と もなる者のことである、と解すべきである。」  「被控訴人は、本件テレビアニメの製作意思の下に、毎日放送に対し、本件テレビアニ メを製作する法律上の義務を負っており、かつ、本件テレビアニメの製作を行う法的主体 として製作に関する収入・支出を被控訴人の計算において行っているということができる から、本件テレビアニメの「製作につき発意と責任を有する者」である「映画製作者」に 該当すると認めるのが相当である。」