・東京地判平成15年11月28日  雑誌「オーディション」事件  原告(株式会社アオイコーポレーション)は、厚生労働大臣認可の芸能プロダクション であり、その業務の一部として、その所属、契約芸能タレントをマスメディアの求めに応 じ、テレビ、雑誌等のインタビューを受ける形で芸能タレントの出演に係る芸能に関する 各種の権利、情報を提供する等の経済取引活動を行っている。被告(株式会社白夜書房) は、タレント・アンド・スカウトマガジンとして月刊雑誌「オーディション」を毎月1回 発行している。  被告は、原告に対し、平成14年10月初旬ころ、本件雑誌12月号の「NEXT B REAK」と題する記事の1頁に、原告との間で専属芸術家契約を締結した人気芸能タレ ントであるAのインタビュー記事と肖像写真を掲載する企画を立て、Aのインタビューと 肖像写真の撮影を申し込み、原告は本件雑誌12月号にAのインタビュー記事及び肖像写 真を掲載することを承諾した。  被告は、本件雑誌12月号にAのインタビュー記事と肖像写真を掲載したほか、同年1 0月28日ころから平成15年6月7日ころまでの間、被告が開設運営している携帯電話 i−modeサイトの1つである「オーディション・コム」(月額登録料300円)の 「先輩に聞こう」のコーナーに、Aのインタビュー記事、肖像写真及び音声メッセージを 掲載した。  本件は、原告が被告に対し、被告がAのインタビュー記事、肖像写真及び音声メッセー ジを本件サイトに掲載したことにつき、@ 主位的に、上記インタビュー記事等を本件雑 誌12月号にのみ掲載する旨の合意に反したという債務不履行、又は上記雑誌の販売期間 である1か月に限り上記インタビュー記事等を本件サイトに掲載する旨の合意に反したと いう債務不履行を理由として、A 予備的に、上記インタビュー記事及び音声メッセージ に係る著作権侵害並びに上記肖像写真に係る肖像権侵害に基づく不法行為を理由として、 1500万円の損害賠償金を請求する事案である。  判決は、「原告と被告との間で、上記インタビュー記事、音声メッセージ及び肖像写真 を本件サイトに1か月に限り掲載するとの合意が成立したものと認めるのが相当である」 としたうえで、「被告が平成14年10月28日ころから平成15年6月7日ころまでの 間上記インタビュー記事等を本件サイトに掲載した行為は、上記合意に違反するものであ り、また、前記(1)で認定した事実経過からすると、被告は、上記1か月経過後、上記イン タビュー記事等を本件サイトから抹消するのを怠り、さらに6か月以上にわたり掲載し続 けたと認められるから、被告は原告に対して債務不履行責任を負うものと解される」と述 べて、100万円の支払い請求を認容した。 ■争 点 (1) 被告の債務不履行責任の有無 (2) 原告の著作権及び肖像権侵害の有無 (3) 損害の発生及び数額