・東京地判平成16年5月21日  成田ケーブルテレビ事件:第一審  本件は、甲事件原告(協同組合日本脚本家連盟)、乙事件原告ら(協同組合日本シナリ オ作家協会、社団法人日本音楽著作権協会、社団法人日本芸能実演家団体協議会)及び乙 事件脱退原告(社団法人日本文芸著作権保護同盟)と被告(成田ケーブルテレビ株式会社) との間で締結された被告による同時再送信における著作物使用に関する契約に基づき、甲 事件原告及び乙事件原告ら及び乙事件参加人(社団法人日本文芸家協会)(以下、併せて 「原告ら」という。)が、被告に対し、契約に定められた使用料(平成6年度から平成1 1年度分)の支払いを求めている事案である。  原告らの主張に対し、被告は、@原告らは、著作権法上、被告によるテレビ番組の同時 再送信について何らの権利を有していないのに、著作物使用に関する契約に基づき使用料 を請求し得ると主張しているものであって、契約自体錯誤無効であるし、そうでなくとも 原告らの請求は著作権法に反するものであるから認められない、A被告による同時再送信 は、原告らが放送事業者に対して許諾した著作物の使用の範囲に含まれているものであっ て、そもそも原告らは被告に対して使用料等の請求をなし得る立場にないので、本件各契 約はその要素に錯誤があり無効である、B原告らの請求は判例あるいは信義則に反する、 C乙事件原告社団法人日本芸能実演家団体協議会(以下「原告芸団協」という。)は、本 来被告に対して著作隣接権を行使できる立場にないのに、同時再送信について著作隣接権 を有するかのごとく被告を欺罔して契約を締結したものであるから、上記契約は、少なく とも原告芸団協に関する部分については詐欺により取り消されるべきものであるか、錯誤 により無効である、D原告らの請求は、契約期間満了又は消滅時効により認められない等 と主張して争っている。  判決は、原告らの一部の請求を認容したものの、原告芸団協の請求その他を棄却した。 (控訴審:知財高裁平成17年8月30日)