・東京高判平成16年11月24日  ファイアーエムブレム事件:控訴審  控訴人イズ(株式会社インテリジェントシステムズ)は、「ファイアーエムブレム」シ リーズの5件のゲームソフトをファミコン又はスーパーファミコン用に製作し、控訴人任 天堂(任天堂株式会社)は、原告ゲームを製造、販売した。  被控訴人Aは、昭和63年3月31日から平成11年8月15日まで控訴人イズの従業 員であった者であり、被控訴人会社(有限会社ティルナノーグ)は被控訴人Aが代表者を 務めている。被控訴人らは、プレイステーション版ゲームソフト「ティアリングサーガ  ユトナ英雄戦記」を共同製作した。被控訴人ゲームの旧名称は、「エムブレムサーガ」で あったが平成13年4月2日に変更された。  本件は、控訴人らが、被控訴人らに対し、〔1〕被控訴人らが製造、販売等するゲーム ソフトは、控訴人らが著作権を有するゲームソフトを翻案したものであるか、又は、〔2〕 被控訴人らによる被控訴人らの上記ゲームソフトの製造、販売等の行為は、控訴人らの周 知・著名なゲームシリーズの商品等表示を使用するなどして、他人の商品等と混同を生じ させる不正競争行為である、と主張し、〔1〕著作権法に基づき、又は、〔2〕不正競争 防止法に基づき、損害賠償の支払いを求めるとともに、被控訴人エンターブレイン及び被 控訴人ティルナノーグに対し、被控訴人らの上記ゲームソフトの製造、販売、頒布の差止 めを求めた事案である。  原判決は、〔1〕被控訴人らの上記ゲームソフトは控訴人らが著作権を有するゲームソ フトの翻案には該当せず、また、〔2〕被控訴人らの上記行為は不正競争行為に当たらな いとして、控訴人らの請求をいずれも棄却した。  本判決は、著作権法上の請求は棄却したものの、原判決を変更して、不正競争防止法2 条1項1号に基づく請求は認容した。 (第一審:東京地判平成14年11月14日、上告審:最判平成17年4月12日) ■争 点 1 著作権法に基づく請求(主位的請求) (1)トラキアの著作権の控訴人イズへの帰属 (2)被控訴人ゲームは、トラキアの翻案に該当するか (3)トラキアへの依拠の有無 (4)被控訴人らの故意又は過失の有無 (5)損害額 2 不正競争防止法に基づく請求(予備的請求) (1)控訴人イズは、不正競争防止法2条1項1号、2号にいう「他人」に該当するか (2)控訴人ゲームの商品等表示(「ファイアーエムブレム」との表示、「エムブレム」 との表示、影像とその変化の態様)は、商品等表示性を有し、周知又は著名か (3)控訴人ゲームの上記各商品等表示と被控訴人ゲームの「エムブレムサーガ」との表 示はそれぞれ類似しているか。 (4)被控訴人らの行為は混同を生じさせる行為に当たるか (5)差止請求の要件の充足性 (6)被控訴人らの故意又は過失の有無 (7)被控訴人らの行為と損害の因果関係及び損害額 ■判決文 ・著作権法  「(4)本件共通表現の検討に当たっての前提となる基本的な考え方  トラキアの本質的な特徴が現れる部分についての上記認定を踏まえ、控訴人らが主張す る本件共通表現について検討することとするが、その前提となる基本的な考え方は以下の とおりである。 (ア)創作性の判断  前述したように、本件共通表現が、思想、感情若しくはアイデア、事実若しくは事件な ど表現それ自体でない部分又は表現上の創作性がない部分において共通するにすぎない場 合には、翻案は成立しないと解すべきである。  著作権法上の著作物の要件である「創作性」については、著作権法に定義規定がないが、 独創性を備えることまで必要であると解すると、著作権による保護の範囲を不当に限定す ることになりかねないことや、創作性の有無を画する客観的な判定基準を求めることは難 しいことなどを考慮すると、表現者の個性が何らかの形で発揮されていれば、創作性自体 は認めることができるものと解すべきである。  ただし、創作性の程度には自ずと幅があるのは当然であるから、当該著作物の著作権を 新たな著作物が侵害したといえるかどうかを判断するに当たっては、当該著作物の保護の 限度を画する要素として、その創作性の程度を考慮することは当然必要になるものと解さ れる。すなわち、創作性の高い著作物については、その保護の範囲は拡大し、著作者の個 性は現れているものの極めてわずかな創作性しかない著作物については、保護の範囲は極 めて狭小なものに限定されると解するのが相当である。 (イ)本件共通表現の判断対象  控訴人らは、本件共通表現は、影像の動的変化と音を一つのまとまりとして連続影像で 表現したものであるから、創作性の判断においては、一つのまとまりとして判断すべきで あり、創作性を有する部分を創作性のない部分まで細分化して、その著作物性を否定すべ きではないと主張する。  確かに、一つのまとまりのある著作物を細分化し、その各部分がアイデアないしありふ れた表現にすぎないとして、全体としての創作性を否定することは誤りである。しかしな がら、一つのまとまりのある著作物の創作性を判断するに当たり、その構成部分まで分解 し、それぞれの構成部分を逐一考察して、創作性の有無程度を検討することは正当な分析 方法である。控訴人らの主張は、まとまりのある一連の影像を構成する各影像の組合せに 創作性を認める余地があるという意味では相当であるが、一つのまとまりのある著作物の 個々の構成部分を考察すべきでないとの趣旨であれば失当というほかない(なお、控訴人 らは、例えば小説や文章を単語のレベルまで細分化することの不当性をいうが、文章を構 成するいくつかの単語が新規性と表現性に富んだ新造語であるため、全体の作品が創作性 と表現性に富むこともあり、また、個々の単語に創作性がないとしても、例えば単語と単 語という最小の組合せに特異性があれば(例えば「幸せのかたち」「小さい秋」などが初 めて使われたとき等)、創作性や表現性を十分に充足することになろう。「国境の長いト ンネルを抜けると雪国であった」という小説中の一節も、使う単語を厳選して、無数の表 現の中からできるかぎり簡明な表現を選択し、その余を読者の類似体験や豊かな感性に託 すことにより、高い創作性や表現性を備えるに至ったものであると理解でき、個々の構成 部分を考慮することが不要ないし不当とは到底いえないのである。)。 (ウ)展開する影像の組合せと配列の著作物性  控訴人らが主張する本件共通表現は、いずれも一つのまとまりをもった連続影像による 視聴覚的表現の総体であるが、後に検討するように、各共通表現は、いずれも、一連のま とまった表現として把握される複数の影像が、プレイヤーの操作・選択により、又はあら かじめ設定されたプログラムに基づいて、連続的に展開することにより形成されていると いうことができる。例えば、共通表現(6)は、後記(5−6)のとおり、自軍ユニット の待機ポーズの影像、プレイヤーの操作によりカーソルが移動する影像、カーソルを自軍 ユニットに合わせると吹出しが表示される影像、移動コマンドの選択により自軍ユニット がその場動きをする影像、移動・攻撃可能範囲の影像、当該ユニットが移動先に移動する 影像、当該ユニットが移動を終えて待機ポーズに切り替わる影像が、連続的に展開するこ とにより形成されている。このように、一つの大きなまとまりとしての表現が、その構成 部分として把握することができる複数の影像の展開により形成されている場合には、これ を構成する各影像自体の創作性及び表現性のみならず、その組合せ・配列により表現され る影像の変化も、著作権法による保護の対象となり得るものであることは、上述のとおり、 当然である。したがって、この点についても検討することが必要かつ相当である。 (エ)ルールの表現性  通常の映画の著作物と異なり、トラキアはゲームソフトであるから、当然のことながら、 ルールが決められ、プレイヤーはルールに基づいてプレイする。例えば、トラキアでは死 亡したユニットは生き返らないというルールがあり、それに基づいて、一度死亡したユニ ットはその後画面上に表示されないが、このようなゲームのルールはアイデアそのもので あり、著作物ということはできず、ルールが具体的に表現したものがある場合に、はじめ てその創作性等が問題となると解すべきである。 (オ)ユーザーインターフェース  ゲームソフトは、通常の映画と異なり、プレイヤーが参加して楽しむというインタラク ティブ性を有しているため、プレイヤーが必要とする情報を表示し、又はプレイヤーの選 択肢を表示するための画面(以下ではかかる意味で「ユーザーインターフェース」という 言葉を用いる。)を表示する必要がある。このようなプレイヤーの便宜のための画面は、 プレイヤーの操作の容易性や一覧性等の機能的な面を重視せざるを得ないため、作成者が その思想・感情を創作的に表現する範囲は自ずと限定的なものとならざるを得ず、特に特 徴的あるいは独自性があると認められない限り、創作性は認められないというべきである。 トラキアについていえば、ステータス表示、ユニットの一覧表示、縮小画面、会話を表示 するための吹出し表示、名前等の情報を提供するための吹出し表示、コマンド選択のため のメニュー画面、武器メニューに関する画面、戦闘パラメータ表示、HPの数値の変化の 表示、経験値の獲得の表示、クラスチェンジに伴う戦闘パラメータの変化の場面、アイテ ム交換の際のアイテムの表示画面等は、いずれもプレイヤーの判断に必要な情報を表示し、 又はプレイヤーの選択肢を表示するものであるから、ユーザーインターフェースとしての 性格を有しているというべきである。 (カ)作風の同一性  本件では、トラキアの実際の制作に被控訴人Aがどの程度関与したかについては当事者 間に争いがあるが、証拠(乙70の1、72の5、123の1、被控訴人A本人)によれ ば、被控訴人Aはトラキアについても実質的な責任者として関与し、トラキアも被控訴人 ゲームも、被控訴人Aの個性が色濃く反映した作品であると認めることができる。被控訴 人らは、トラキアと被控訴人ゲームの類似性は作風の同一性にすぎず、制作者が同一人物 であることは翻案該当性を否定する方向で斟酌すべきであると主張するところ、確かに、 著作権法上の保護は、このような作品の作風や傾向といった抽象的な部分にまでは及ばな いと解されるので、1人のゲームクリエイターが関与した2つの作品を比較して翻案該当 性を判断する際には、その作風の類似性を翻案該当性の基礎としないように留意する必要 がある。  しかしながら、ゲームクリエイターがゲームソフトを制作するに当たっては、自らが以 前に制作して現在は他の者に著作権が帰属する作品の翻案を行うべきでないことは当然で あり、かつ、それは可能であると考えられる。したがって、原著作物と二次的著作物の実 質的な著作者が同一であることは、翻案の判断基準に基本的な変更を迫るものではないと 解される。 (キ)相違点の考慮  翻案権とは、原著作物を利用して創作性を加え、別個の著作物を創作する権利であるか ら、二次的な著作物に新たな表現が付加されたからといって、直ちに翻案該当性が否定さ れるわけではない。しかしながら、新たな表現が付加されることにより、二次的な著作物 が原著作物との同一性を失い、これに接する者が著作物全体から受ける印象を異にすると 認められるときは、二次的な著作物から原著作物の創作的特徴を直接感得することはでき ないから、その二次的著作物はもはや原著作物の複製ないし翻案ということはできないと 解すべきである。」  「以上判示したとおりであって、帰するところ、両ゲームは、アイデアなどの表現それ 自体でない部分又は創作性の乏しい表現において共通するにすぎないのであるから、被控 訴人ゲームに接する者がトラキアの表現上の本質的な特徴を感得することは困難であると いうべきであり、被控訴人ゲームがトラキアの翻案に当たると認めることはできない。」  「(8)まとめ  以上によれば、控訴人らの主張する翻案はいずれも認めることができないというべきで あるから、その余の点を判断するまでもなく、控訴人らの著作権法に基づく請求は理由が ない。」 ・不正競争防止法  「(1)不正競争防止法2条1項1号は、「他人の商品等表示・・・として需要者の間 に広く認識されているものと同一若しくは類似の商品等表示を使用し、・・・他人の商品 又は営業と混同を生じさせる行為」、同項2号は、「自己の商品等表示として他人の著名 な商品等表示と同一若しくは類似のものを使用」する行為について、それぞれ不正競争行 為にあたると規定する。  ここでいう「他人」とは商品等表示の主体を意味するところ、本件では、控訴人ゲーム を製造、販売した控訴人任天堂が本件商品の商品等表示の主体に当たることについては、 当事者間に争いがない。当事者間に争いがあるのは、控訴人ゲームの製造販売権等を控訴 人任天堂に使用許諾した控訴人イズが「他人」に該当するかどうかである。  この「他人」の意義につき、控訴人らは、不正競争行為によって営業上の利益を侵害さ れ、又は侵害されるおそれがある者をいうと主張する。しかしながら、「他人」とはあく まで商品等の表示主体を指すのであるから、「他人」に該当するかどうかは、商品等表示 についていえば、当該商品等表示の内容や態様、当該商品の広告・宣伝の規模や内容、品 質保証表示のあり方などに照らし、当該商品等表示が何人のものとして需要者に認識され ているかによって定めるのが相当である。」  「(4)以上によれば、控訴人イズは、不正競争防止法2条1項1号及び2号の「他人」 には該当しないというべきである。したがって、控訴人イズの同法に基づく請求は、その 余の判断をするまでもなく、棄却を免れない。」  「(4)以上によれば、控訴人ゲームの商品等表示である「ファイアーエムブレム」及 び「エムブレム」の要部は「エムブレム」であり、被控訴人ゲームの商品等表示である 「エムブレムサーガ」の要部も「エムブレム」ということになる。「ファイアーエムブレ ム」表示及び「エムブレム」と「エムブレムサーガ」表示とは、商品識別力のある要部に おいて外観、呼称、観念が同一であるから、取引者、需要者は、「ファイアーエムブレム」 及び「エムブレム」と「エムブレムサーガ」を全体的に類似のものとして受け取るおそれ があると認めることができる。  なお、仮に、「ファイアーエムブレム」と「エムブレムサーガ」を、それぞれ一気に通 して、「ファイアーエムブレム」と「エムブレムサーガ」との称呼をも生じ得るもので、 これに伴って、「炎の紋章」と「紋章物語(伝説)」との観念をも生じ得るものであると しても、上記類否判断の結論を左右しないというべきである。すなわち、前判示のとおり、 ゲームソフトとしての「ファイアーエムブレム」と「エムブレムサーガ」とは、同種のタ イプ(SRPG)に分類され、需要者も共通するものである上、「エムブレムサーガ」の 製造、販売の以前から、ファイアーエムブレム・シリーズが第5作まで発売され、「ファ イアーエムブレム」との表示が、控訴人任天堂の商品表示として、著名とまでは認定し得 なかったものの、これに近い高度の周知性を有するに至っていたものである。これらの事 情に加えて、前記判示のように、「エムブレム」の部分が「ム」という一般的でない表記 が用いられた造語的印象を受ける特徴的表現であることにも照らせば、「エムブレムサー ガ」との表示に接した本件需要者としては、注意を引く「エムブレム」部分から、同種の ゲームソフトで既に高い周知性を有している「ファイアーエムブレム」を想起し、これと の関連性を連想して、両者を全体的に類似のものと受け取るおそれがあるものと推認され る(「エムブレムサーガ」との表示に接した本件需要者としては、「ファイアーエムブレ ム」の周知の略称である「エムブレム」を想起することを介して、「ファイアーエムブレ ム」を想起し、上記と同様に類似のものと受け取るおそれも考えられる。)。  よって、「ファイアーエムブレム」表示と「エムブレムサーガ」表示、「エムブレム」 表示と「エムブレムサーガ」表示は、いずれも、類似の商品等表示であるというべきであ る。」  「(2)前記3における判示及び上記(1)の認定事実によれば、被控訴人らは、控訴 人ゲームの商品等表示である「ファイアーエムブレム」及び「エムブレム」と類似する 「エムブレムサーガ」とのタイトルを付したゲームソフトを制作するとともに、その広告 を行ったものと認められ、かかる被控訴人らの行為は不正競争防止法2条1項1号にいう 「使用」に当たると解される。このように、周知な商品等表示と全体的に類似のものとし て受け取るおそれがある商品等表示を使用する行為は、特段の事情がない限り、需要者を 「混同させる行為」に当たると認めるのが相当である。  本件では、上記認定のとおり、被控訴人ゲームが開発中であることが告知された平成1 1年12月から被控訴人ゲームのタイトルが変更された平成13年4月までの間、ゲーム 雑誌等には、被控訴人ゲームがプレイステーション用に制作されたファイアーエムブレム ・シリーズの続編であるかのごとき紹介記事がたびたび掲載され、それに対して、被控訴 人らが、被控訴人ゲームはファイアーエムブレム・シリーズの続編ではないと需要者に認 識させるに十分な措置を講じたとは証拠上認めることができない。むしろ、被控訴人エン ターブレインの代表者であるBが発行人を務める「週刊ファミ通」平成12年1月21日 号(甲20)には、被控訴人ゲームとファイアーエムブレム・シリーズを関連付けるよう な紹介記事が掲載され、さらに、被控訴人Aは、同誌に掲載されたインタビュー記事にお いて、被控訴人ゲームとファイアーエムブレム・シリーズの関連性や共通点を積極的に読 者に印象付けるような発言を行っている。同様の記事やインタビューは、「電撃プレイス テーション」平成12年1月28日号(甲460)にも掲載されているが、これらの紹介 記事やインタビュー記事は、その公表時期や内容に照らし、需要者に強い印象を与えたと 考えられ、これらの紹介記事等に接した需要者は、被控訴人らが、控訴人任天堂の許諾を 得て、ファイアーエムブレム・シリーズの最新作をプレイステーション用に制作したと誤 解するおそれがあったというべきである。そして、上記(1)(カ)のとおり、現実に、 本件需要者の間には、被控訴人ゲームがプレイステーション用のファイアーエムブレム・ シリーズ最新作であるとの誤認混同が生じていたと認められるのである。したがって、本 件では、混同のおそれの存在を否定すべき特段の事情は認められない。」  「8 まとめ  上記のとおり、不正競争防止法に基づく控訴人イズの請求はいずれも理由がないので棄 却を免れず、控訴人任天堂の損害賠償請求は、7646万7720円の限度で理由があり、 その余の損害賠償請求は理由がないことになる。なお、控訴人任天堂は、上記第1の2 (4)のとおり、控訴人イズが不正競争防止法上の請求主体と認められない場合には、控 訴人イズに生じるはずの損害1億2915万円を自己の損害1億2915万円の上積みと して主張して請求するというが、以上判示のとおり、控訴人任天堂に生じた損害は、客観 的にみると、1億2915万円を明らかに下回っており、当初の請求のほか上積みとして 主張して請求する分もまた理由がない。 第6 結論  以上によれば、控訴人イズの請求は理由がなく、これを棄却した原判決は相当であるか ら、控訴人イズの控訴は棄却を免れない。また、控訴人任天堂の請求のうち、著作権法に 基づく請求を棄却した部分、及び、不正競争防止法に基づく製造販売等の差止請求を棄却 した部分は、これを棄却した原判決は結論において相当であるが、不正競争防止法に基づ く損害賠償請求を全部棄却した部分は、一部不当であるので、これを7646万7720 円及びその遅延損害金の支払いを命ずる限度で変更する。  よって、主文のとおり判決する。 東京高等裁判所知的財産第4部 裁判長裁判官 塚原 朋一    裁判官 田中 昌利    裁判官 佐藤達文」