・横浜地判平成17年5月17日  スメルゲット事件:第一審  本件は、インターネット上のホームページでシックハウス症候群対策品である「スメル ゲット」及び「ホルムゲット」の広告販売を行う会社である株式会社ラフィーネから営業 権の譲渡を受けた原告・控訴人(有限会社トライアル)が、ラフィーネの著作物である写 真及び文章を被告・被控訴人ら(株式会社プラスマークス、有限会社ティーエムピープラ ス)が無断で利用したことにより著作権侵害が生じ、同侵害により発生した損害賠償請求 権(民法709条)を控訴人がラフィーネから譲り受けたなどと主張して、被控訴人らに 対し、損害賠償及び遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。  判決は、著作物性を否定した上で、不法行為も否定した。 (控訴審:知財高判平成18年3月29日) ■判決文  「まず、本件各写真は、本件商品を正面から写しただけの平凡なものであり、そこに 『思想又は感情の創作的表現』は何ら見られないから、これを著作権法上の保護の対象と なる著作物ということはできず、被告らがこれを無断掲載した行為を著作権侵害による不 法行為ということはできない。  もっとも、著作物に当たらないとしても、他人が作成した商品広告用の写真を無断で掲 載する行為は、それが他人の営業活動を妨害し、営業上の利益を侵害する場合には、もは や自由競争の範囲内の行為とはいえないから、不法行為となるというべきである。  そこでこの点を検討すると、上記の通り、本件各写真は、本件商品を正面から写しただ けの平凡なものであって、これによって特に本件商品の販売促進などの効果があるとは考 えられないから、被告らの無断掲載行為がラフィーネの営業活動を妨害し、営業上の利益 を侵害するということはできず、これを不法行為ということはできない。」