・知財高判平成17年5月26日  ProLesWeb事件:控訴審  原告・控訴人(株式会社マイクロラボ)は、訴え取下前被控訴人(国際頭脳産業株式会 社。一審被告)に対して、コンピュータソフトウェア「Webcel8」の画面表示は、 控訴人の製造したソフトウェア「ProLesWeb」の画面表示と同一又はその表現上 の特徴を感得できるものであって、被告ソフトウェアを製造販売する一審被告の行為は、 画面表示について控訴人が有する著作権を侵害すると主張して、著作権(複製権、翻案権) に基づき、被告ソフトウェアの使用差止め及び損害賠償を請求し、原審はこれを棄却した。  これに対し、控訴人は、原判決の全部を不服として控訴し、原審におけるのと同旨の判 決を求めた。しかるところ、一審被告は、当審係属後の平成16年8月25日破産宣告を 受け、同年12月2日破産廃止となった。その間、一審被告の破産管財人は、被告ソフト ウェアに関する権利義務を訴訟引受人(株式会社ナニワ計算センター)に譲渡したので、 当裁判所は、訴訟引受人に一審被告のために本訴の引受けを命じ、控訴人は一審被告に対 する訴えを取り下げた。控訴人は、一審被告に対して請求していたうちの損害賠償請求を 除く部分を訴訟引受人に請求した。  判決は、「原告各画面表示には、原告ソフトウェアの機能ないし操作手順を普通に表現 したものにすぎないなどの理由から、創作的な表現があると認めることはできない」とし て、控訴棄却。 (第一審:東京地判平成16年6月30日) ■判決文 第3 当裁判所の判断  当裁判所としても、原告各画面表示には、原告ソフトウェアの機能ないし操作手順を普 通に表現したものにすぎないなどの理由から、創作的な表現があると認めることはできな い。その理由内容の詳細は、原判決中「事実及び理由」の「第3 争点に対する判断」に 示されているとおりである。  当審において控訴人が強調するところは、原告ソフトウェアにおいて想定されるユーザ ー、価格帯、使用目的、使用頻度、使用されるハードウェアのスペック等を前提にして、 各構成要素の選択と配列、各画面表示の選択と配列、各画面表示相互の牽連性を重視して、 原告ソフトウェアの創作性を判断すべきであるというにあるが、著作物性を認めるに足り る創作性を肯定すべき表現内容が、原判決が上記判断において前提とした各画面の表示内 容等を超えて、原告各画面表示にあるものと認めることはできない。  よって、原告各画面表示は、いずれも創作的に表現したものということはできず、著作 権法にいう著作物に該当するものということはできない。 第4 結論  以上のとおり、控訴人の訴訟引受人に対する本訴請求は理由がないので、主文のとおり 判決する。 知的財産高等裁判所第4部 裁判長裁判官 塚原 朋一    裁判官 塩月 秀平    裁判官 高野 輝久