辻ゼミ会いつまでも
上野達弘(平成6年卒業)
辻正美先生が亡くなられてから、平成19年4月24日で10年になる。
辻ゼミは8年間しか行われなかったため、辻会は、院生会員を含めても60名程の小さ
なゼミ会である。それでも、毎年恒例の会合には毎回10名弱が集う。
辻先生の御尊父・正圓様もその一人だった。
毎年わざわざ松阪から、米寿を超えてますますお元気な姿を見せてくださっていたので
ある(本誌45号82頁参照)。辻先生が亡くなったあと、それは7年間にわたって続い
た。
平成15年の会合を最後にお目にかかれなくなったが、それでもお父様は丁重なお手紙
を下さった。その文面は、往事の理路整然さを彷彿とさせるものであり、会合参加者への
御礼としてどのような内容の京土産を準備して欲しいかといったことや、注意事項として
知恩院の閉門時刻まで記されているほどの周到ぶりであった。
その後も毎年ご案内とお電話は続けてきたが、平成18年のある日、残念ながら訃報に
接することになった。謹んでご冥福をお祈りしたい。
もはや門下生だけになった辻会であるが、毎年11月の第一土曜日に開かれている会合
はこれからも欠かさず続けられていくであろう。不思議な暖かいつながりが、ここにはあ
る。わたしにはそう思えてならないのである。
(有信会誌49号86頁〔2007年〕所収)